本を読んで、笑って泣いて怒って感動した素直な気持ちを綴っています。
ブログタイトル変更しました(旧 読書の薦め)
|
ただひたすら本を読みたくなるので以前読んだ本すら忘れてしまうこともしばしば。 |
武士道エイティーン
| ||
2009.09.30 Wednesday 10:33
シックスティーン、セブンティーンに続く第三弾。 これは順番に読まないともったいないですね。 本を開けて、紅白のしおりに、 あ〜これこれ。って今までの物語が頭に浮かびます。 剣道に打ち込む香織と早苗は高校三年に。 前回で転校して違う学校になり、ライバルになる二人。 早苗はそんな意識はないし、性格も正反対な二人だけれど、 不思議と強い絆があります。 今回はふたりの他の人物、恩師や姉、後輩それぞれの物語があって、 それはそれでおもしろいのだけど、 早苗と香織の話が少なくなってちょっと残念。 二人の剣道の試合があっけなくて・・・ 最後の試合が終わって、進路を考える高校三年生。 迷いや決意や、揺れ動く気持ちが却ってすがすがしいです。 何事も真剣に打ち込むからこそ得るものがあると感じます。 特に背景になった剣道、武士道としての奥深さはまだまだ描ききれない部分もあるのでは。 これで最終巻なのかもしれませんが、 まだまだこの後の二人も見たいです。 | ||
堕ちてゆく男
| ||
2009.09.29 Tuesday 15:53
ビルの中にいながら奇跡的な生還を果たしたキースは、家族の元へ帰る。 が、すでに崩壊していた家族たちとの暮らし。 愛人との関係。 妻の母親たち老人たちの老いの問題。 そしてそしてテロリスト側の男が登場。 あれだけのことを起こした人物のことは誰もが知りたいことでしょう。 実行犯たちのそのときの行動。 駒のひとつだったのだろうが、 やっぱり赦せないです。 これは小説だとわかって読んでいても、多くの失った命を思うと辛いですね。 飛行機が突っ込んでから、ビルの外へ逃げる描写がとてもリアル。 でも途中はあまり事件と関係ないことに話が流れるので、 もっともっと事件のことを追ってほしかったと思ってしまいました。 | ||
極北クレーマー
| ||
2009.09.28 Monday 12:25
そういうおもしろさがあります。 特に前回、ジェネラルルージュの伝説を読んだので、 海堂氏の意図も少しながら理解できましたし。 赤字を抱える地方の公立病院。 そこに外科医として赴任した今中の視点で物語は進みます。 本当にここは病院なのかと思う人たちの態度なのだけど、 前半、登場人物のキャラの濃さに引き込まれました。 ただジーンワルツで少し触れられていた三枝医師のことになってくると、 なんだか医師という立場、仕事の大変さをまざまざと感じざるを得ません。 実際に、身内を亡くした立場だったらやはり真実を知りたいと思うのかもしれませんし、 訴えたくなるかもしれません。 でも、 こんな風に、優秀な医師が医療現場から去らなくてはいけないとしたら、 間違っていますよね。 そうならない為の作を、三枝医師を助けるまでを見たかった。 あのあとどうなったのでしょう。 | ||
かあちゃん
| ||
2009.09.27 Sunday 10:57
おかあさんでも、ママでもなく、かあちゃん。 ここに登場するかあちゃんの生き方に本当の母の強さを感じます。 夫が運転中の事故により、同乗していた上司が亡くなった。 夫も亡くなってしまったのだけど、 上司の家族に、詫びて詫びて詫び続けたかあちゃん。 ただ詫びるだけでなく、 毎月のお墓参りに、送金、そして一番は忘れないこでいること。 夫の生命保険のお金もすべて上司の家族に渡し、 親戚も頼らず、一人で仕事を捜し、 いくつもの仕事を掛け持ちし、 そしてそして、自分で決めた約束は・・ 笑わないこと 自分が笑う時間を持つことが申し訳ないと、 お金にならない、ボランティアや町内の用事も勧んで引き受ける。 自分のための時間すら持つことすら赦さない。 それを、倒れるまで・・20数年です。 亡くなった上司の娘は、当時こそ恨んでいたけれど、 今はもう・・ そして息子の悩みから物語は、 息子の友達、先生へと、かあちゃんの想いが繋がれていきます。 償いのひとつは、忘れないこと。 かあちゃん、これからは笑っていいんだよ。 もっともっと長生きしてね。 | ||
弩 【ど】
| ||
2009.09.25 Friday 11:18
こんなインパクトのあるタイトル、中々ありませんね。 まず、それだけで興味を惹かれました。 歴史文書からいろんな物語を誕生させるな〜と、 おもしろかったです。 南北朝の時代、柿渋と塩の取り引きに成功したある百姓たちが、 侍相手に戦うことになる。 その武器は『弩』 主人公の吾輔は、学はないけれど、前向きだし、責任感もある好人物。 たかが百姓と思うなかれ。 贅沢な暮らしはなくとも、 生きるとはどういうことかを、教えてもらった。 自然のなかから得ることはたくさんある。 なぜ、草木は春に一斉に芽吹くのか。 なぜ、夏の陽は稲を育てるのか。 なぜ、総出の田仕事で皆が歌うのか。 秋の実りを祈りながら待つ心がどんなに素晴らしいか。 身分が低く年貢の取りたてに苦労した百姓たちが、 知恵を授けてくれた者がいたにしても、 侍に正面から向かっていった。 桃源郷とは人が年齢の順に死んでいける土地。 印象深い言葉がたくさんありました。 弩が出て来るのはかなり後半なので、 途中少しテンポが遅く感じますが、 戦が始まってからは、盛り上がりました。 犠牲者のない戦はないけれど、 よく戦ったのだと思う。 | ||